腱鞘炎について

腱鞘炎

腱鞘炎と呼ばれるものは様々なところで発生します。

指、手首、肘、足首・・・それらをしっかり分類していきます。

 

指・・・好発するのがMP付近の痛み。バネ指で弾発症状が出現する。深指屈筋と浅指屈筋を包んでいる滑液鞘と輪状の腱鞘(A1腱鞘)での異常が多い

手首・・橈側ではド・ケルバン病と呼ばれる、短母指伸筋、長拇指外転筋(第1腱区画)の滑液鞘と伸筋支帯での異常。尺側では小指伸筋(第5腱区画)、尺側手根伸筋(第6腱区画)

 

肘・・・テニスエルボー、ゴルフ肘など外側に多く出る。他部位の腱鞘炎とは異なり、概念としてはenthesopathy(エンテソパチー)となる。厳密に言うと腱鞘炎ではないですね。

足首・・・下腿深層コンパートメント筋群の滑液鞘と屈筋支帯、長・短腓骨筋の滑液鞘と上下腓骨筋支帯での異常。アキレス腱周囲炎(パラテノン)の炎症

 

肘はenthesopathyなので腱鞘炎からは外すとして、アキレス腱以外は腱及び滑液鞘の表面を支帯が通っている箇所で異常が起きています。

支帯はほとんど腱及び滑液鞘の滑走方向に対して垂直に近い角度で交わります。当然と言えば当然なのですが。

アキレス腱のパラテノンでは靴による圧迫が支帯と同じような役割をしてるのではないかと僕は考えています。

 

ここでよく勘違いを起こし易いのが、腱鞘の中を腱が通っていると言うことです。説明するときに手でトンネルを作ってその中を指を入れて説明したりしますが、恐らくそれは間違いです。

腱と滑液鞘は同時に動きます。指でいうとA1腱鞘の下を滑液鞘に包まれた腱が通る。手首なら伸筋支帯の下を滑液鞘に包まれた短母指伸筋、長拇指外転筋の腱が通るのです。

 

そして手、足の筋支帯はそこだけ単独に存在するのではなく、前腕や大腿、下腿のfacia(膜)の中で密度や線維構造・方向が異なる部位が支帯です。

ここまでが筋膜で、ここからが支帯という明確な境目もわかりませんが、上手いこと体はデザインされています。

なので腱鞘炎等を局所だけで治す先生も居れば、離れた部位を刺激することで治す先生もいてるのでしょう。

 

支帯を含めたそのfaciaを治療するのか、滑液鞘を治療するのかの違いなのでしょう。どちらも当然効果はあると思います。

腱鞘炎に対して僕が認識違いを起こしていた点を中心に、実際の腱・腱鞘を見てさらに解剖書や手術の動画などを見てまとめあげました。

是非参考にしてみてください。