治るということ

治す・治る・治癒  この類の言葉は一人称に対して向けられるべき語句だと認識している。

誰かが誰かを治すことなんてできないし、治されるためのメカニズムすら存在しない。

自然治癒力というものが一般的には知られているが、そもそも治癒力というものは

自然に以外は存在しないと考えている。

他人ができる事は力を貸すくらいでしかない。治るのが遅延する要素を取り除くしかできない。

 

こういう話をするときにもっとも例に上げやすいのが風邪である。

風邪は誰も治すことができない。自分を除いては治すことができないという意味である。

自分で勝手に治している。手術しようが薬を飲もうが、鍼をしようが治すのは自分の免疫機構だ。

捻挫の場合はどうか。やはり治すのは自分以外ありえない。

お灸をしても、鍼をしても圧迫固定をしてもやっている事は腫脹を軽減させるだけで、あとは勝手に治している。

優れている手技療法で損傷した組織を繋いだりしても、あとは勝手に身体が治していく。

 

なら肩関節前方脱臼の場合は?

これはどう考えても力学的負荷を加えて関節を元の状態に整復(正す)行為がなければならない。

ただこれは位置を戻しているだけ。直しているだけで、そこからの組織の修復は自分で行うしかない。

 

なので他人は他人を治せない。力は貸せるけど。勝手に自分で治っていくだけですよ。