投球障害②〜上腕骨近位骨端線離開(リトルリーガーズショルダー)〜

『肩が痛い』

これは、野球や肩を頻繁に使用するスポーツをする選手にとって切っても切り離せない問題です❗️特に小学生や中学生の時の怪我が原因でスポーツをやめてしまう子も少なくありません。今日は、ジュニア期で見られる投球障害の1つ、「上腕骨近位骨端線離開」について説明していきます❗️

リトルリーガーズショルダー

上腕骨近位骨端線離開は、小学生〜中学生で発症することから、別名「リトルリーガーズショルダー」と呼ばれています。これは、骨が完全に成長していない時期に投球動作を繰り返すことによって生じる障害、つまり肩の使い過ぎによって生じます。この障害は、肩のオーバーユースにより肩関節近位の骨端線に繰り返しストレスが加わり、上腕骨頭と骨体が離開する状態です。投球動作で骨端線に特に負荷がかかりやすいのは「cookinng期」「follow through期」で、リハビリではいかにここでの負担を減らすことができるかがポイントになります。

臨床所見

  • 大結節下部の圧痛
  • 肩関節水平屈曲制限、疼痛
  • 肩関節2nd外旋時痛

小学生〜中学生で上記の症状が確認された場合、医療機関を受診して下さい。X線、またはMRIを撮影し、骨頭と骨体が離開している像が確認されると、「上腕骨近位骨端線離開」と診断されます。治療には、休息が必要となります。そのため1〜2ヶ月の投球禁止で痛みを軽減させ、安静期間にリハビリを行ない、筋力、柔軟性を向上させ、投球再開後の再発を予防します。

リハビリでは特に「cooking期」の回旋ストレス、「follow through期」での牽引ストレス軽減を目的に行なっていきます。「cooking期」では、肩関節最大外旋位から内旋方向へ力が作用します。この時、上腕骨の骨端線には回旋方向にストレスが加わります。「follow through期」では、上腕骨骨頭が関節窩から離れようとした際に骨端線に牽引ストレスが加わります。これらのストレスを軽減させるためには、ストレスを増悪させている筋群の柔軟性、筋力向上、投球動作の指導を行なっていきます。

大切な事は早期の発見とリハビリを行う事です。怪我で悔しい思いをさせないように、いち早く異常に気付いて治療に進めていきましょう。

理学療法士 秋田