今回は脱水症状、熱痙攣、熱疲労、熱中症と暑さに関連した緊急事態について話をします。
日本救急医学会では熱痙攣・熱疲労などの分類をせず、熱中症の1度〜3度までの分類で分けています。
概要 | 症状 | |
脱水症状 | 熱い環境、過剰な運動、
水分補給が足りない |
脱力感、口の渇き、めまい、錯乱
尿量の減少 |
熱痙攣 | 痛みを伴う筋痙攣 | 筋肉の痙攣、発汗、頭痛 |
熱疲労 | 急速に熱疲労に進行する可能性がある
兆候が熱中症と類似している |
吐き気、めまい、嘔吐、筋痙攣
疲労感、大量の発汗 |
熱中症 | 冷却が重要、ベストは水につける | 錯乱、卒倒・疲労感、めまい、失神
吐き気・嘔吐、筋痙攣、痙攣 |
熱中症1度
次は処置について
・脱水症状・・・脱水症状があれば医療機関に連絡、水分補給、最善のファーストエイドは予防。
・熱痙攣・・・・傷病者を安静にして冷却、糖及び電解質を含む飲料を飲ませる、損傷部位を最大20分冷却
・熱疲労・・・・119、涼しい場所に寝かせ安静にする、衣服を脱がせる、冷水をスプレーして冷却、ない場合は首・腋窩・鼠蹊部を冷やす
・熱中症・・・・119、可能なら傷病者の体を冷水に首までつけるか、冷水をスプレー、反応がな正常呼吸していないまたは死線期呼吸のみな場合はCPR
覚えておくべきことは、熱中症の場合、可能なら首まで冷水につけるということです。(効果的な水温は2度、10分から20分くらい)
また冷水への浸漬の効果 に関する研究では、2℃の水に約 9 分 浸漬させるこ とで直腸温が 39.5℃から 38.6℃まで低下すること、 目標温度を直腸温 38.6℃とした場合は処置を終えた 後に低体温に陥らないことも報告されている 6)
深部体温が上昇しているため、ファーストエイドで深部体温を下げるにはそれくらいしなければいけないということを知らなければなりません。
首、腋窩、鼠径部のアイシングだけでは到底足りません。
しかし現実的にはなかなかそういった環境がない場合が多いです。
そういった場合は首・腋窩・鼠径部にアイシングの他に体に冷水をスプレーし、うちわなどで風を送る方が効果的です。
熱中症は予防が大事ですが発症してしまった場に遭遇した時、発症する可能性がある所にトレーナーとして行くなら
あらかじめ運ぶ場所、冷却の方法を考えておくべきです。
参考はAHAファーストエイドガイドライン、熱中症診療ガイドライン(日本救急医学会)