産後の骨盤

妊娠された方、出産された方が必ず耳にする言葉『妊娠したら骨盤がゆがむ』『骨盤がひらく』『産後の骨盤矯正』

産後を診るためには、妊娠中に何が起こっているかを知る必要があります。それを生理作用から解説していきます。

参考書籍はSTEP 産婦人科2 産科、病気がみえるvol.10 産科 ➕ ネットで拾える論文 ➕ ググった内容

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骨盤がどのような生理作用で緩み、緩む事でどうなるか書いているか読んでみたところ、

書いていませんでした。よく聞くリラキシンの作用が書いていればよかったのですが、

そこに対する記述はありませんでした。残念。

なのでリラキシン関係の論文を調べました。

リラキシンは1926年にHsawFLらによって妊娠中の豚から発見され、妊娠中の恥骨結合を緩める作用があると報告された

約6000のペプチドホルモンである。

ヒトリラキシンは卵巣から分泌され多くの組織で細胞増殖と分化を制御する働きをもつことが知られているようです。

最近では急性心不全の症状改善など様々な作用が判明しています。

ちなみにリラキシン(relaxin)はレラキシンとも呼び、薬もあります。

レラキシン200mg

神経筋接合部のニコチン性Ach受容体に作用し,終板に持続的脱分極を起こすことにより筋弛緩作用を示す(脱分極性筋弛緩剤).

筋肉の弛緩作用があるようで手術などで使用するようです。

いろいろ調べましたが、骨盤がゆるゆるになるほどの事を書いた論文はありませんでした。

なので情報から推測するほかありません。

やはり妊娠中から産後少しの間に濃度が高くなるホルモンであるため妊娠・出産で不可欠な作用を起こす事は明白です。

※ここからはリラキシンの作用は産道での作用についてしか書かないのでご了承ください。

リラキシンが分泌されたときから恥骨結合、仙腸関節などの繊維軟骨の緩み(伸張)が起こりやすくなると定義をして考えます。

妊娠時に骨盤が歪む、因子を書くと

・側臥位・重力を受ける姿勢・床反力(座位)・体重・子宮の右軸回旋  

1、側臥位。よく妊婦さんがとる側臥位での姿勢です。必ず脚にクッションかマクラを入れるように指導します。

骨盤に決まった回旋のクセをつけさせない為です。

2、重力。歪みに対して一番外力とストレスをかけるのは重力だと考えます。重力を受ける姿勢ですね。

骨盤と連動している股関節は、人が立ったり歩いたりするときに体重を支える役割をにない、歩行時には体重のおよそ3倍、立ち上がりでは体重の6~7倍、さらに床からや低い位置からの立ち上がりでは、10倍の重さがかかるといわれています。

股関節周囲の筋肉や関節の構造で分散されるといえども負荷はかかります。リラキシンによって恥骨結合、仙腸関節に緩みが

あれば癖や筋力の使用バランスによっては歪みを生むと考えられます。

3、床反力(座位)。坐骨のあたり具合が関与していると考えています。左右非対称に当たることで寛骨に力が加わり

恥骨結合での歪みを作る可能性は大いに考えられる。

4、体重。子宮が大きくなるにつれて腰が反ってきますが、さらに体重が増えることによって腰椎の前弯が強くなります。

5、子宮の右軸回旋。妊娠時子宮は骨盤、腹腔内で増大します。その際左側にはS状結腸が存在する為、子宮は自然と

右側へ寄せられることになる。これを右軸回旋といいます。全員に起こっていることでは無いようですが、骨盤を歪ます要因

になることは間違いないです。これは患者さんに産科の先生か助産師さんに聞いて、骨盤歪みを正す為の一つの情報としては

有益な情報になるかと思います。

結論

・リラキシンによって恥骨結合が伸張しやすい状態になるため、アンバランスな荷重によりゆがむ。

・リラキシンによって恥骨結合が緩むから、その結果仙腸関節が動くというあくまで恥骨結合主体で

捉えるべきだと考えます。

・骨盤が歪むのは妊娠中、開くのは出産時。

・全身の靭帯が緩むという研究結果はいくら探しても見つからなかった。

しかし、月経時にACL損傷が発生しやすいという事実はあるが、それがリラキシンによっての作用なのかエストロゲンの作用かはわからない。

(Yu1)らは組織培養 されたヒト ACL ではエストロゲン濃度が高まるにつれて, 線維増殖や TypeⅠコラーゲンの代謝が減少し 緊張が低下することと,この現象はエスト ロゲンを投与して 3 日間の間だけ一時的に起こる現象で あったと報告している.)

・骨盤を矯正するには早ければ早いほうがいい。産科の先生によっては産み終わってすぐにベルトで締める院もあります。

 

1)Yu WD, Lim SH, Hatch JD,et al.Effect of estrogen on cellular metabolism of the human anterior cruciate ligament.Clin Othop Relat Res. 1999;366:2 29-238 30)Yu WD,Panossian V, Hatch JD,et al.Combined effect of estrogen and progesterone on the anterior cruciate ligament.Clin Otrhop Relat Res.2001;383:268 -281